あらすじ
さるくんのゆめは、ばななをおなかいっぱい食べること!
ある日「みずうみにばななをなげると、ふえる」といううわさを聞いて…。
でも、ほんとうにふえちゃったら、どうなるの?!
「いっぱい たべたい!」絵本テキスト全文

トビラ
じゃんぐるに すむ さるくんの ゆめは、ばななを おなかいっっぱい たべること!
P.1~2
きょうも あさごはんの ばななを いっぽん、ぱくぱくぱくっと さんくちで ぺろりと たべました。
「もっと いーっぱい ばななが たべられたらいいのに!」
さるくんは、なかよしの なまけものくんに いいました。
「それなら~、みずうみに~ ばななを~ なげると~、ばななが~ ふえるって~ うわさだよ~。ぼくの~ ばなな~ あげるから~ やってみな~」
といって、なまけものくんが ばななを いっぽん わけて くれました。
P.3~4
さるくんは さっそく みずうみに きました。
「あの うわさ、ほんとうかな? ふえなかったら もったいないから たべちゃおうか? う~ん でも……やっぱり ためしてみよう!」
「ばななよ、ふえろ! えいっ!」
さるくんは ばななを ぽいっと みずうみに なげました。
P.5~6
ちゃぽんっ
ばななは すいめんに ぷかぷか うくだけ。
「そうだ! おまじないを かけてみよう」
さるくんは、うたいながら おどりはじめました。
♪ だいすき ばなな たべたい ばなな
ばーんと ふえて どーんと ふえて
やーまのようにー ばなな!
P.7~8
ぷ~かぷ~か
ばななは ただ うくだけ。さるくんは がっかりしました。
すると、ばななに いっぴきの ありが うんしょ うんしょ のぼって きました。
「そのばなな、もったいないから きみに あげるよ」
そういうと、さるくんは しょんぼり かえっていきました。
ちいさな ありは てを ぶんぶん ふって、さるくんに かんしゃしました。
P9~10
つぎの あさ。
いえの まえには かご いっぱいの ばななが ありました。
「わ~い! ほんとうに ふえてる!」
さるくんは りょうていっぱい くちいっぱいに ばななを ほおばって、ぱくぱく もぐもぐ。
「あ~、しあわせ~!」
P.11~12
つぎの ひ。
また つぎ のひ。
さるくんは きょうも おなかいっぱい ばななを もぐもぐ たべました。
「まいにち ゆめみたいで しあわせ~! でも、ばななって こんなに あまかったっけ?」
P.13~14
さらに つぎのひ です。
いえの まえには どーーーんと ばななの やまが ありました。
「きょうも ばなな いただきまーす」
ぱくぱく もぐもぐ…
ぱくぱく……あれれ?
ばななを たべたいのに、くちが あきません。
さるくんは びっくり。
「どうしよう、ぼくの からだが ばななを いやがってる!」
さるくんは だいすきだった ばななが きゅうに こわくなって きました。
P.15~16
「あした、ばななが もっと ふえていたら どうしよう」
しんぱいになった さるくんは、もういちど みずうみに いって、おまじないを とく ことにしました。
♪だいすき ばなな たくさん たべた
ありがと ばなな まじない きょうで
おしまい♪
P.17~18
つぎの あさです。
ドン! ドン! ドンドンドン!!
「さるく~ん。あけて~!」
さるくんが めをさますと、まどの そとは まっきいろ。
そして、ふたつの めが ぎょろり。
「でた~! ばなな かいじゅうだ~!」
「ぼくだよ~。なまけものだよ~」
よくみると、ばななに うもれた なまけものくん でした。
P.19~20
「だいじょうぶ~? ばなな~ ふえたね~」
「もう ばなな いらないよ! なまけものくん たすけて!」
「ばななの とめかた~ いっしょに さがしにいこう~」
さるくんと なまけものくんは ばななを がさごそ かきわけて、やっとの ことで そとに ぬけだしました。
P.21~22
そとは ばななの うみ。
きいろい じゅうたん みたいです。
「まさか こんなに ふえるなんて!」
「まずは~ ばななの はしっこ~ さがしにいこう~」
さるくんと なまけものくんは ばななの うえを てくてく あるきました。
P.23~24
やっと ばななの はしっこを みつけたと おもったら、そのさきには ずーーーっと ばななの れつが つづいていました。
「これ~、なにかに~ にていな~い?」
「どこかで みたような……あっ!」
「ありの ぎょうれつだ!」
さるくんと なまけものくんは どうじに さけびました。
P.25~26
さるくんが ばななを いっぽん もちあげると、その したには たくさんの ありが いました。
「さるさんだ! あのときは、おぼれていた ぼくたちの かぞくを たすけてくれて ありがとうございました! おれいの ばなな、きにいって くれましたか?」
「えーっ! あの ありくんは おぼれてたんだ! ばななは とっても うれしかったよ! でも、ぼく ちょっと ばななを たべすぎちゃったみたい。この ばななたち どうしよう?」
さるくんと なまけものくん、ありたちは う~んと かんがえました。
P.27~28
「ばななを こおらせて あいすに したら どうですか?」
「いいね~ そうしたら~ ながく~ たべれるもんね~」
「でも、どうやって このばななを ぜんぶ こおらせる?」
そこへ たびびとの しろくまが やってきました。
「この きいろい ものは なんだい?」
「ぜんぶ ばなな ですよ!」
「ばなな! あの まぼろしの ばなな! ぼくの くにでは うっていないんだ! かぞくへの おみやげに すこし もらっていっても いいかな?」
「もちろんだよ!」
さるくんたちは、しろくまさんに ばななを たくさん わけてあげました。
P.29~30
「ほんとうに どうも ありがとう。おれいに わたしに できることは ないかな?」
「ぼくたち、この ばななを ぜんぶ こおらせたいんだけど…」
「そんなことなら おやすいごよう! わたしの くには、ぜんぶが れいとうこみたいな ところだからね」
こうして ばななは つめた~い れいとうばななになって、
あつい じゃんぐると さむい ほっきょくで だいにんきに なりました。
© 2025 くどうあおい
作者のひとこと

みなさんも
「好きなものをお腹いっぱい食べてみたい!」
と思ったことはありませんか?
私もある日、大きなバナナを3本いっぺんに食べてみたら…
なんと、さるくんと同じような大変なことに!
そんな体験から生まれたのが、このお話です。
みんなの“やさしい気持ち”が巻き起こすドタバタ劇も、ぜひお楽しみください。
あとがき
最後までお読みいただき本当にありがとうございました!
絵本テキスト作家を目指しているので
読んだご感想やご意見を聞かせてもらえるととても嬉しいです🙏✨